
壁にぶつかって、
先生になっていく。
- 三幸学園
- 大宮医療秘書専門学校
- 2021年 新卒入社
人が成長する
力になりたい。

教育業界を志したきっかけは、大学時代に所属していたボランティア団体でした。主な活動は、知的障がいのある子どもたちとの月に一度の交流会。毎回、ダンスにゲーム、お料理など催しの内容はさまざまで、当日まではその準備に大忙し。企画をイチから考え、プログラムの詳細やタイムスケジュールを詰め、必要な物品はできる限り自分たちで手づくりし、入念にリハーサルを行う。まるで、文化祭を毎月開催しているような日々。朝から晩まで準備に追われることも多く、あまり大きな声では言えませんが授業中に内職をしたことも。学部の友人たちと比べると、とても慌ただしい大学生活を過ごしていたと思います。
そんな活動を通じて芽生えた、「人をサポートする喜び」。実は、団体に加入するまでは、どちらかというと子どもは苦手な方で……。しかし、何事にも一生懸命に取り組む子どもたちの姿、できなかったことができるようになる素晴らしさを目の当たりにし、人の成長を支える喜びをカラダいっぱいに感じることができたんです。
「人が成長するそばで、何か力になりたい。」就職活動に取り組むなかで三幸学園に惹かれた理由は、教育の力でより良い社会をつくろうとする姿勢が伝わってきたから。この学校なら大学時代のようにきっと夢中になれる環境がある。そう感じて、入職を決めました。
一年目。
理想と現実。
先生になる。一年目はその意味を理解する大きなきっかけになった年でした。配属されたのは、大宮医療秘書専門学校。医療秘書や医療事務をはじめ、病院内のサポートを担う人材を育てる専門教育機関です。
初めて担任を受け持ったのは、控えめな生徒が多いクラス。お世辞にも覇気があるとは言えず、挨拶や返事もおとなしくて。三幸学園は「明るく元気に」を大切にしていますから、理想の姿にクラスの雰囲気を少しでも近づけられるよう、挨拶の練習を何度も繰り返したり、大きな声で返事するように促したり。しかし、心を鬼にして接していくたびに、生徒たちの心がどんどん離れていくのを感じました。まるで、生徒vs.先生の構図。いま考えると、もっと長い目でじっくり伝えていったら良いと思えるのですが、当時は「間違った行動は正さなきゃ!」と気負っていたフシもあって。生徒たちには「ハズレ」の先生だと思われていたんじゃないかな。
大学時代は子どもたちと良好な関係がつくれていたのに。人と接するのには自信があったのに。日々のコミュニケーションもうまく取れず、距離も縮まらず、思ったようにできない現実が悔しくて。休み時間にトイレでひとり、涙したこともありました。
助けを求めるのも、
あなたの仕事。

先生は、学校や教育について広く理解し、正しい指導ができる存在でなければいけない。自分自身に「完璧な先生」を求めてしまったがためにどんどん窮屈になって。素の自分すら生徒に見せられなくなって。すると、生徒と関わることも怖くなり、空回りやミスも増え、負のスパイラルから抜け出せず。出口の見えない霧のなかを歩いているような日々が続きました……。
「ひとりで抱えすぎずに、周りをもっと頼ってほしい。」転機になったのは先輩からのアドバイスでした。「クラスのことはあなたを信じて任せている。けれど、すべてをひとりでやり遂げないといけないわけじゃなくて。困ったときは他の先生に助けてもらう。声をあげるのもあなたの仕事だよ。」その言葉にすごく救われました。思い返せば大学時代の活動でも自分ひとりでタスクを抱えすぎて、いっぱいいっぱいになったこともあるほど、私は周囲に助けを求められないタイプ。弱い自分を見せたくない。そんな気持ちが強かったんだと思います。でもこのままではいけないとわかり、殻を破って、とにかくオープンな気持ちで仕事をしてみることにしたんです。
ありがたいことに、三幸学園の職員はみなさん本当に協力的で、忙しくても嫌な顔もせずに悩みに応じてくれて。そのおかげで、少しずつですが周囲を頼ったり、弱みを見せられるようになりました。生徒に対しても、完璧な先生を演じることを辞めたのも、この頃です。
自分から
心をひらくこと。
失敗していい。間違っていい。先生らしい振る舞いから逸れていい。「こうあるべき」の殻を破っていくと、不思議なことに生徒との関係性は良くなっていきました。一緒におしゃべりする機会も増え、いつの間にか友達のような間柄に。肩の力を抜けたのが良かったんだと思います。
1年目の終わりに、生徒から手紙をもらったんです。「先生のクラスでよかった」と感謝が綴られた内容を読んだときは、嬉しく嬉しくて。近寄りづらい先生から、気軽に話せる先生へ。相手の心をひらくには、まずは自分から心をひらくこと。大きな学びを得た、1年目。
マインドが変わると、生徒たちと話すのが楽しくなっていくんですよね。2年目は持ち上がりでクラスを担任することになり、それからはますます深い関係を築けるようになりました。そして、あっという間の卒業式。これまでの辛かった日々、楽しかった日々を思い出して、本当に涙が止まりませんでした。卒業式後の謝恩会でも、たくさんの生徒たちが私のもとに集まってきてくれて。懐かしい話に花を咲かせたり、写真をたくさん撮ったり。未熟な私についてきてくれた生徒たちには、本当に感謝しています。生徒も先生も、支えあって、ともに成長していく。私もまだまだ、これからです。